半島の猫 第二話

半島の猫 第二話

海と空の境界で反射した光が木立をすり抜き、子猫は目をつぶりました。
ちらちらと見える薄緑色の家の方から、鳥のさえずりとも虫の羽音とも獣のそれとも違う、低い波長がかすかに聞こえました。

人間の聴力は二千ヘルツ、犬は四万ヘルツ、猫はさらに六万五千ヘルツを上限とします。
そのうえ、耳たぶが180度の可動域を持つので、遠くで放射する老人の声をなんなく補足したのでした。
こうした能力を生後二か月の子猫がもっているのです。

子猫は暗闇から光が溢れる草むらに這い出ました。

あ、、、、

絵本半島の猫2話より~

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