床下から這い出ますと、そこにかあちゃんが立っていました。
今にも、ひどく叱られるんじゃないかと、びくびくしながらかあちゃん
の後をついていきました。
その晩、かあさん猫は子猫たちが眠りに落ちたのを確かると、あの子猫
を揺り起こしました。
「みんながここを出ていく時が近づいている。わかるかい?」
子猫は大きなあくびをしました。
「餌を捕まえたり、敵から逃げたりひとりでできるようになると、
一人前になるんだ。そのために自分だけの狩場と棲み処を持つんだ。」
「ところが、いい狩場はどこもいっぱいさ。いい狩場とはいえないけど、
あの家の近くなら、まず安全な棲み処にはなる。おまえはそこに行くん
だ。」
「そうなったら、もうお前とは親でも子でもなくなる。そして、お前も
可愛いお嫁さんを見つけて、子供をたくさんつくるんだよ。」