子猫は階段の下まで来ると、少しちゅうちょしたように立ち留まりました。
そして、あらためて 最上段を見上げ、意を決したように一歩、一歩、
昇り始めました。
鳴き声がだんだん激しくなり、その鳴き声が、
「おっちゃん。」「おっちゃん」
と言っているように聞こえてきました。
踊り場から最上階に向かって、空を飛びあがるようにかけてきます。
この時、老人は、
「こりゃ、ひばりだな。名前は決まりだ。」
と思い、いつものこだわりを瞬間に貫通した快さを感じました。
「ひばりよくきたな。」
ひばりはデッキを潜って反対側に出ると、ぴょんと飛び昇りました。