半島の猫 第十三話

半島の猫 第十三話

絵本半島の猫13話より〜

翌朝のこと。

海と森が輝き、小鳥たちが一斉にさえずり始めました。

日の差し込んだ部屋は、ベートーベンのピアノソナタが流れています。

「この曲を聴くと、恋をしたように切なくなる」と言った友人ともすっか

り無沙汰になったがと、老人がぼんやりと考えておりますと、床下でまだ幼

い猫の声がしました。

それが長く尾を引くのが終わると、老人は「きのうの子猫だな」とひとり合

点して、立ち上がりました。

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