半島の猫28話

半島の猫28話

絵本半島の猫28話より〜

床下から這い出ますと、そこにかあちゃんが立っていました。

今にも、ひどく叱られるんじゃないかと、びくびくしながらかあちゃん
の後をついていきました。

その晩、かあさん猫は子猫たちが眠りに落ちたのを確かると、あの子猫
を揺り起こしました。

「みんながここを出ていく時が近づいている。わかるかい?」

子猫は大きなあくびをしました。

「餌を捕まえたり、敵から逃げたりひとりでできるようになると、
一人前になるんだ。そのために自分だけの狩場と棲み処を持つんだ。」

「ところが、いい狩場はどこもいっぱいさ。いい狩場とはいえないけど、
あの家の近くなら、まず安全な棲み処にはなる。おまえはそこに行くん
だ。」

「そうなったら、もうお前とは親でも子でもなくなる。そして、お前も
可愛いお嫁さんを見つけて、子供をたくさんつくるんだよ。」

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